クアロイヤル デイスパ

ちょっぴり妖しい日本語案内

 ドイツ、バードホンブルグにある「タウナステルメ」は以前紹介しましたが、今回はその隣にあるちょっとユニークな施設をご案内します。

 バードホンブルグという町はバードという名前が付いています。バードとは英語のバス(BATH)と同じような意味です。そしてドイツにはこのバードの付いた町が数百ありそのほとんどが温泉の町です。「タウナステルメ」は広大なクアパークの中にあり1983年に作られましたが、「クアロイヤル デイスパ」は、百年前に作られた古典的温泉利用施設「ウエルヘルムカイザー フリードリッヒバード」の内部を現代的デイスパに改修して作られた施設です。

外観は流石に荘厳です。
写真1 クアロイヤルデイスパ外観
内装は中世ヨーロッパ風
写真2 中世ヨーロッパ風の内装

 広いクアパークの中にある温泉の飲泉場から続く長く美しい花のプロムナードを歩き「クアロイヤル デイスパ」のある建物に行きます(写真1)。中に入ると高い天井の中世ヨーロッパ建築です。しかしその先にあるのはとてもモダンな受付です(写真2)。受付で入場料35ユーロを支払い中に入ります。ここはドイツの多くの温泉施設にあるようなサウナエリア(ヌードエリア)はありません。すべて水着です。

施設案内図 妖しい日本語表記はご愛嬌です。
フロアマップ 妖しい日本語はご愛嬌です

 水着になり中央に出ると小ぶりな温水プールがあります(写真3)。受付でもらったフロアマップを確認すると何がなんだかよくわかりません(フロアマップ)。複雑な迷路のようです。プールサイドに出ても四角いプールしか見えず、その他のものがどこにあるかさえもわかりません。プールの周りには通路や扉があるのでとりあえずあちこち探検です(写真4)。

中央の温水プール
写真3 中央の温水プール
迷路のような通路
写真4 迷路のような通路

趣向を凝らしたリラクセーションの数々

 プールのすぐ脇にある扉を開け、部屋に入ってみます。部屋は温かく中央に金の玉がありその下から霧が出ています。コの字型のベンチに座ってみるとほんのり温かいのです。しばらくすると部屋が暗くなり中央の金の玉に光が当ります。良くみると水に浮かんでいるのです。ほのかに香りも感じます。そしてしばらくするとまた部屋が明るくなりました。とてもリラックスしてきます。室温が37~38℃の微温浴室です。リラクセーションと免疫力強化の部屋でした。

 続いてその並びにある部屋に入ります。部屋の名前は「アクアサリナ」です。部屋に入ると木の小枝で作られた円筒形のオブジェから塩水が流れています。昔の塩作りのようなシステムです。小枝に触れて落ちる塩水の微量なエアロゾルが、呼吸器を通して血流を活性化させます。海岸線を歩いているような環境の部屋なのです。

 続いて通路の方へ行ってみます。これまた面白い部屋があります。低温ドライサウナのような部屋なのですが、部屋の奥になにやら装置があり一定時間がくるとその装置が稼動し始めます。サウナオーブンの蓋が開き焼けたい石が滑車で下から持ち上げられ水の入ったボールの中に入っていきます。その瞬間「ジュッ!」という音を立てて部屋全体に熱蒸気が立ち込めます。低温ドライサウナがスチームサウナとなり瞬間的に発汗してきました。自動アウフグースの装置だったのです。

 今度は反対側の通路に行ってみます。通路に出て階段を上ると上りきったところに「干草スチームサウナ」があります(写真5)。これまた面白いです。ベンチが4台あるのですが、その背中のところに干草が詰まっていてベンチに座ると背中から干草の香りの熱風が吹いてくるのです。干草を治療に使うなんて日本では考えられないのですが、この干草は炎症を抑える効果があると言われて、また筋肉のリラックスと血液循環を促進するそうです。「干草スチームサウナ」の前にはサロンがあり、ゆったりと休憩しているご婦人方が見えます。

 フロアマップの一番先の「ウェーブドリーム」の部屋に行きます(写真6)。暗い部屋の天井に本物の水の揺らぎが映し出されています。あたかも水中から水面を見上げているようです。放射状にベッドがならび利用者は水の揺らぎに癒されます。水の揺らぎと特殊音楽により深いリラクセーションが得られ、心拍数が減っていくそうです。

干草スチームサウナ
写真5 干草スチームサウナ
ウェーブドリーム
写真6 ウェーブドリーム

 続いて半階下がった左のウイングに行きます。このエリアも面白いです。いきなり奥まで進んで行き「サンドライトスパルーム」へ行きます(写真7)。床に砂が敷き詰められ、壁は海をイメージして一面が青くなっています。大きなシーツ大のフリースを持って部屋に入り、そのフリースを砂の上に敷いて寝ます。ほんのり温かい砂の感触と砂独特の弾力が心地よくリラックスできます。海岸の壁画に人工の太陽が昇りそして沈んでいきます。この部屋は砂浜での半日を約20分で体験できる部屋なのです。まるでニースの海岸にいたかのような気分にさせてくれます。

 更に続きます。サンドライトスパルームの正面にハーバルスチームルームがあります。この部屋はスパイシーなハーブの香り部屋です。ゆるやかなスチーム、そして温かい床の上には松の葉が敷かれてリフレクソロジー効果もあります。本物のハーブ、そしてベンチもゆるやかなカーブの木製ベンチで作られており、ナチュラル感あふれてリラックスできます。対照的にその横にあるカルダリウムはテルメ小川にあるテルマリウムと同じく高温タイプのスチームサウナで、アロマとともに気持ちよく発汗させてくれます。いかにも肌と呼吸器系に効果がありそうです(写真8)。

サンドライトスパルーム
写真7 サンドライトスパルーム
テルメ小川と同じタイプのカルダリウム
写真8 テルメ小川にもあるカルダリウム

 さて、サウナエリアの最後は、ラッスール浴、ハマムマッサージ、アイスファウンテンのエリアです。ラッスール浴室は泥パックの部屋です。半円形の一人掛けの椅子に座り自分で全身にミネラル泥を塗ります。温められた部屋なので、泥が熱とともに徐々に乾燥していきます。約10分経つと今度はアロマ入りのスチームが出て乾燥した泥を再び溶かしていきます。この状態で20分ほど過ごすと、自動的に天井からシャワーが降り泥を落として終了します。泥のミネラル分が皮膚から入り、また泥を洗い流すことで皮膚を洗浄してくれます。終わると清涼感いっぱいになります。

 その正面にはアイスファウンテンの部屋があります。アイスファウンテンの部屋にはクラッシュアイス、冷たい霧のシャワー、冷たい雨のシャワーがあり、様々なバリエーションのサウナでほてった身体を冷やし引き締めてくれます。

 その横にはハマムマッサージのコーナーがありソープマッサージが受けられます。このソープマッサージは日本のアカスリに比べるととてもマイルドで、山盛りの泡に包まれてやさしくマッサージされるので女性にはとてもお薦めです。やっとサウナエリアを一周しました。

 このロイヤルデイスパではメインのメニューである個室トリートメントが数10種類準備されているのです。こんなすごいサウナエリアを持つデイスパ、他にあるでしょうか?

著者:粟井英一郎